この年のセ・リーグ優勝チームは長嶋茂雄が監督を務める読売ジャイアンツ(巨人)であり、史上初めてのON対決が実現した日本シリーズは、まさに世紀の戦いとして多くの注目を浴びた
現在、福岡市内でセラピストとして働く湯上谷竑志さん(59歳)は、巨人に王手を許した第6戦でスタメン出場したが、痛恨のミスを犯したことを今でも悔やんでいる
「結局、悪送球で終わってしまった」という彼の言葉には、当時の感情が色濃く残っている
世紀の対決とその裏側
引退から25年が経った今でも、湯上谷さんの心に深く刻まれた思い出がある日本シリーズの第6戦は、王ダイエーにとって勝利が求められる重要な試合であり、千万人以上が注目した
当時、野球少年だった湯上谷さんは、故障に悩まされていた小久保選手の代わりに起用された
湯上谷さんは右肩の不調を抱えつつも、この大一番での出番が巡ってきた
痛恨のミスとその余波
試合は3回、先発投手の永井智浩選手が同点打を許し、相手チームの清原和博選手が放った打球を湯上谷さんは捕球すべく猛然と突進したしかし、体勢を崩しながらの送球は一塁に大きくそれてしまった
彼のそのプレーは、試合の流れを変えるきっかけとなり、直後に松井秀喜選手のホームランが出るなど、チームは敗北を喫した
感情の葛藤と引退の決断
公式記録ではエラーはつかなかったものの、本人の中では「自分の送球はエラーだった」との思いが消えない日本シリーズ後、球団からの戦力外通告が湯上谷さんのプロ野球人生を終わらせ、彼は長い間その心の痛みと向き合ってきた
湯上谷竑志のプロフィール
- 生年月日
- 1966年5月3日
- 出身地
- 富山県
- 経歴
- 石川・星稜高から1984年のドラフト2位で南海入団
- 通算成績
- 1242試合、打率258、141盗塁
- 職業
- 現在、福岡小笹店のセラピスト
キーワード解説
- 日本シリーズとは?プロ野球の日本一を決めるトーナメント戦で、セ・リーグとパ・リーグの優勝チームが対戦します。
- 悪送球とは?守備の選手がボールを捕球後に故意または不注意で誤った送り先に投げるミスを指します。
- スタメンとは?試合において初めから出場する選手のことを指します。
- エラーとは?守備の選手が本来成功するはずのプレーに失敗し、その結果が得点につながった場合に記録されるミスのことです。

