中込伸氏の阪神入団の舞台裏:高校からの特殊な道のり
元阪神タイガースの投手、中込伸氏が1988年にプロ野球界に足を踏み入れた経緯が明らかになった彼は山梨県立甲府工業高校のエースとして1987年の春の選抜大会で8強入りを果たすなど、将来を嘱望される選手であったが、彼の進路は従来のルートとは異なるものだった
高校時代、中込氏は定時制の兵庫県立神崎工業高校に通っており、阪神球団の職員としてスカウトされたのが彼のプロ入りのきっかけであった
これは当時の“囲い込み策”と呼ばれる手法であり、特定の選手を囲い込む目的で球団が用いた方式の一つである
この仕組みにより、中込氏は背番号99のタイガース練習生として1シーズンを過ごした上でのプロ指名となった
1987年夏、甲府工は山梨大会決勝で東海大甲府に敗北
中込氏はその際、高校2年生でありながら、実際には定時制課程から全日制に移行するための特殊な状況にあった
このため、彼の高校生活は早々に終わりを迎え、社会人野球への進路も視野に入れていた
中込氏は阪神からの誘いを受けた際に、「そんなやり方もあるのか」と驚いたという
しかし、彼の思いは強く、プロ野球選手になりたいという願望からその提案を受け入れることとなった
また、甲府工の監督である原監督も彼が阪神に預けられることに賛同した背景には、彼が再び遊び回ることを懸念したからだと言われている
このような“囲い込み策”は、かつて1981年のドラフトでの西武・伊東勤選手のケースや、1988年の中日・大豊泰昭選手の事例とも類似しており、当時はお問い合わせや特別扱いが行われる慣習があった
しかし、現在ではこの方法は認められていない
中込伸氏のケースは、プロ野球におけるスカウトの手法や選手育成の多様性を示唆している。かつては認められていた囲い込み策も時代の変化と共に消えていく中、球団と選手との関係性がどのように進化していくかが注目される。そして、一歩間違えば大きなリスクを伴う選択肢を中込氏が選んだ勇気にも感銘を受ける。
キーワード解説
- 囲い込み策とは?選手を獲得するために球団が特定の選手を優先的に育成し、指名権を得ようとする手法のこと。
- 定時制高校とは?通常の全日制課程とは異なり、昼間の授業を受けることができない生徒が教育を受けるための制度のこと。

