ヤクルトのドラフト裏話:長嶋一茂獲得の瞬間を語る元スカウト部長

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 6月3日、「ミスタープロ野球」として君臨した長嶋茂雄さんが永遠の眠りにつく中、彼の息子である長嶋一茂氏が1987年にヤクルトからドラフト1位指名を受けた背景が改めて注目されている

このドラフト1位指名は、単なる選手獲得の話に留まらず、プロ野球界全体に大きな影響を及ぼす出来事となった

今回は、当時ヤクルトのスカウト部長を務めていた故・片岡宏雄氏が語った、その裏側をお伝えする

ドラフト会議のその瞬間

 1987年のドラフト当日、ヤクルトのスカウト陣の間では「投手を獲ろう」という合意があった

特に狙い目として挙げられていたのが、九州産業交通の野田浩司投手であり、150キロ近い速球と「お化けフォーク」という特殊な変化球を持っていた

 しかし、夏頃に助っ人外国人選手のボブ・ホーナーの帰国の噂が流れ、フロントから突然「一茂推し」が始まった

スカウト部長の片岡氏は、当初の計画を覆してこの選手を1位指名する羽目になった

彼は「外れろ〜、外れろ〜」と念じながら、ドラフト会議を見守ったと明かしている

片岡氏の思い

 当時、片岡氏は立教大学で長嶋茂雄氏と同じチームでプレーしていたため、長嶋家への特別な感情もあった

「ドラフトの後、長嶋さんの家に挨拶に行くのがとても憂鬱だった」と彼は語る

運命の瞬間に直面する中で、他のスカウトとは異なり、彼だけが頭を抱えていたという

ドラフト前の電話

 実は、ドラフト前には長嶋茂雄本人から片岡氏に電話があり、「一茂をよろしく頼む」との声をかけられていた

これにより、スカウトたちの心情は複雑になったといわれている

このような舞台裏があった上での一茂氏の入団は、ヤクルトにとって特別な意味を持つ出来事だった

長嶋一茂氏のドラフト1位指名は、プロ野球界において特異な出来事です。その背景にはスカウト部長の複雑な心境や、選手獲得に対する期待などがあり、ドラフトの舞台裏には思慮深いエピソードが溢れています。
キーワード解説

  • ドラフトとは?:プロ野球選手が各球団に指名されるイベントで、新人選手の獲得を目的とする。
  • スカウトとは?:選手の才能を見出し、プロチームに推薦する役割を持つ人のことを指す。
  • 外れ1位とは?:ドラフトの指名選手が他球団に取られた場合に、次に獲得する選手を指して用いられる言葉。

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