巨人田中将大投手(36)が9月30日の中日戦(東京ドーム)に先発して6回4安打2失点で今季3勝目をマーク
3点リードの3回2死一塁から細川に2ランを浴びるも、粘りを見せた
登板最終の6回は3者凡退に抑え、リードを保ったまま救援陣に託した
大台まで“あとひとつ”としてから4度目の挑戦
今季レギュラーシーズン最終登板で、史上4人目の日米通算200勝を達成した
苦しんだ分だけ感慨もひとしおだった
試合終了の瞬間、田中将は両手を掲げて満面の笑みを浮かべた
チームメートからのウオーターシャワーや小学校時代からの幼なじみ坂本、エース戸郷との抱擁
かつて登場曲にも使用していた「FUNKY MONKEY BABYS」の代表曲「あとひとつ」の大合唱
球場全体が祝福ムードに包まれ「感無量です
まだ今ちょっとふわふわしている感じですかね」と率直な思いを口にした
近いようで遠い“あと3勝”だった
4月3日の中日戦で移籍後初登板&初勝利をマークしたが、それからは長い足踏み
試行錯誤の段階だったとはいえ、2軍戦で打たれる日もあった
年齢を重ねるにつれてうまくいかないことも増え「若い頃と比べていろんなことを考える時間が多くなった」
昨季はプロ入り後初めてシーズン未勝利に終わった
この日の勝利で日本復帰後の21年から積み重ねた勝ち星は23勝目
これは13年に1シーズンでマークした24勝よりも少ない
あの時も苦しい日々だった
メジャー4年目の17年
「自分の中でどうしたらいいんだというぐらい全然結果が出なくて」
名門ヤンキースで3年連続開幕投手を務めるも、2回2/3を8安打7失点でノックアウト
その後も前半戦は8登板連続白星なしの屈辱を味わった
そんな危機感が田中将を変えた
「メンタルコーチもいたので、物事の考え方であったり、処理の仕方を学びました」
終わってみればシーズン13勝を挙げ、ポストシーズンでも活躍した
「その辺が(野球人生の中で)ポイントだった」と振り返る
どんな時でも根底にあったものがある
それは「野球が好きというところと、もっとうまくなりたい」
今季も長い2軍暮らしが続いていた中でも「苦しいのは間違いないけど、チームが戦うことに関しては関係ない」と若手選手にアドバイスを送る姿があった
そんな姿勢があったから、久保巡回投手コーチら2軍首脳陣も手を差し伸べ続けた
田中将も「適当にやってちゃ、若い子たちが多い中で先発をする機会は得られない」と胸を張った
常日頃から「積み重ね」という言葉を口にする
夏の甲子園3連覇を目指した駒大苫小牧時代
楽天、ヤンキース、巨人での経験や出会い
全てが積み重なって今の“田中将大”がある
今年の春先にも「積み重ね」を実感する一幕があった
桑田2軍監督らと外角低めのボールの精度を見直した
それはプロ1年目の時に監督だった野村克也さんから口酸っぱく言われ「若い時に一番練習していた」ボール
偶然か必然か
原点回帰する機会を得たことに「大切なことは変わらず自分の中にあるのかな」と実感を込めた
学生時代から20年以上マー君の愛称で親しまれ、第一線を走り続けてきた
今の姿は全盛期の頃とは程遠いのかもしれない
それでも「本当にいろいろなことがありました
苦しかったですけど、時間かかりましたけど、なんとか乗り越えることができてこの数字にたどり着けた」
さまざまな苦悩を乗り越え、ついに金字塔を打ち立てた
◆200勝 日米通算を含め、田中将以外に00年以降の200勝達成者は04年工藤、05年野茂、08年山本昌、16年黒田、24年ダルビッシュの5人だけ
田中将に次ぎ現役で通算勝利が多いのは45歳のヤクルト石川がNPB通算188勝
楽天岸が170勝、中日涌井が166勝で続く
日米通算ではヤンキース傘下3Aの前田が165勝(日本97勝、米国68勝)
なお、来日した外国人投手が日米通算200勝を記録した例はなく、過去の来日外国人で最多は88、89年に巨人でプレーしたガリクソンの183勝(日本21勝、米国162勝)
◆田中将大(たなか・まさひろ)1988年(昭63)11月1日、兵庫県生まれ
小学6年の時、昆陽里(こやのさと)タイガースで坂本勇人(現巨人)とバッテリー(田中将が捕手)
駒大苫小牧2年夏に甲子園優勝
3年夏は斎藤(早実)と投げ合い決勝再試合の末、準優勝
06年高校生ドラフト1巡目で楽天入団
07年新人王
13年はプロ野球新記録の開幕24連勝をマークし、楽天を初の日本一に導いた
同年オフにポスティングシステムでヤンキース移籍
14~19年に日本人大リーガー最長の6年連続2桁勝利
21年楽天復帰
昨年オフに契約交渉がまとまらず、自由契約となり巨人移籍
188センチ、97キロ
右投げ右打ち
夫人はタレントの里田まい
◆日本プロ野球名球会 日米通算200勝をマークした田中将は、名球会入りの資格を得た
名球会は78年に設立され、野球振興、社会貢献を目的にする団体
入会資格は日米通算で投手なら200勝または250セーブ、打者なら2000安打以上
入会資格に相当する記録保持者が、特例で入会する制度もある
理事長は古田敦也氏
田中将大選手が日米通算200勝を達成した試合は、彼の野球人生の集大成と言える瞬間でした。長いキャリアの中で経験した苦労や試行錯誤が今の成功につながっていることを考えると、彼の忍耐力と努力は見事です。この偉業は、他の選手にも勇気を与えることでしょう。
キーワード解説
- 200勝とは? 200勝は、プロ野球の投手が通算して勝利した試合数が200回であることを指します。これは投手として非常に高い評価を受ける基準であり、主に長いキャリアと安定した成績を示すものです。
- メンタルコーチとは?メンタルコーチは、選手の精神面をサポートする専門家です。特にプレッシャーのかかる状況での心の持ち方やストレス対策を指導します。
- ポスティングシステムとは?ポスティングシステムは、選手が他のリーグに移籍する際に、現在所属しているチームに対して事前に報告し、契約交渉を行う制度のことです。

