東北学院大学の山田将生(しょうい、4年、東北学院)が仙台六大学野球リーグで初安打を放ったのは、大学ラストシーズンの今秋
4年春までの公式戦は、新人戦を含めて計18打数無安打と苦しんだ
一時は途中でバットを置くことも考えたが、最後まで諦めず、泥臭く白球を追ったからこそ、「最高」の景色が目の前に広がった
「将生が打つとチームが盛り上がる」
8月31日の宮城教育大学戦、4点を追う二回の第1打席これが山田の言う「最高の1打席」である
逆方向に打球を飛ばし、三遊間を抜ける安打に
待ちに待った山田のリーグ戦初安打を機に打線がつながり、チームは逆転勝利を収めた
山田は一塁上で拳を突き上げた後、沸き立つスタンドに目をやった
「4年春まではあそこ(スタンド)にいた
だけど今、こうやってグラウンドに立っていて、一緒に頑張ってきた同期や後輩が自分のことのように初安打を喜んでくれている
本当に幸せだ」
あふれ出る涙を拭った
その後も代打や指名打者で出場を続け、打率3割8分5厘(13打数5安打)をマーク
東北工業大学とのリーグ最終戦も代打で登場し、ダメ押しの3点適時三塁打を放って2018年秋以来、7年ぶりとなる準優勝を決定づけた
星孝典監督は全日程終了後、「今秋は4年生がすべてにおいて存在感を発揮してくれた」とし、「個人的には山田将生の活躍がとてもうれしいです
仲間に慕われる人間性を持っているので、将生が打つとチームが盛り上がる
チームを救う選手になってくれました」と名指しで称賛した
同期、後輩、そして指揮官の心を動かすラストシーズンだった
櫻井頼之介に出ばなをくじかれた1年春の新人戦
東北学院中学校・高校出身で、高校3年時に投手から外野手に転向すると、夏は創部初の甲子園出場に貢献愛工大名電(愛知)との初戦では先制打を含む2本の長打で4打点を挙げ、聖地初勝利を呼び込んだ
華々しい実績を引っさげ、大学には自信を持って進学した
しかし、1年春の新人戦で出ばなをくじかれる
4番でスタメン出場したが、後にドラフト候補となる東北福祉大学の櫻井頼之介(4年、聖カタリナ学園)から2三振を喫した
「これまで見たことのないような球で、レベルの差を痛感しました」
新人戦の会場はリーグ戦と同じ東北福祉大野球場
櫻井に完敗して以降、リーグ戦では悪いイメージが頭にこびりついたまま打席に立ち、凡退を繰り返した
山田は「呪われているというか……何度チャンスをもらってもこの球場では1本も出なくて、『練習試合だけ打つ男』みたいになってしまいました」と振り返る
3年秋を終えた段階で「自分の限界を知ってしまった」という山田は最終学年を迎える直前、星監督に「後輩にチャンスを譲った方がいいのではないか」と涙ながらに相談した
指揮官は首を横に振った
「後輩思いなのは分かるけど、身を引くところではない
だったら自分のバットでチームを救うために頑張ろう
天性の長打力と力強いスイングでチームを救う時が必ず来る」
その言葉に背中を押され、勝負のラストイヤーに臨んだ
山田選手の逆転劇には、努力と仲間への感謝が凝縮されています。特に苦境に立たされながらも諦めずに打席に立ち続けた姿勢は、多くの人に勇気を与えるでしょう。また、チームメイトとの絆も感じられ、スポーツの醍醐味を再確認させられます。
キーワード解説
- 初安打とは?:選手が公式戦などで初めてヒットを打つことを指します。これは選手にとって非常に特別な瞬間であり、努力の成果を実感する瞬間でもあります。
- 逆転勝利とは?:試合中に負けていたチームが、後半に点を挙げて逆転し、勝利を収めることを意味します。このような勝利はチームにとって非常に盛り上がる瞬間です。
- 打率とは?:選手が打席に立った回数に対して、ヒットを打った回数の割合を示す数字です。高打率は選手の打撃能力を示しています。

