社会人捕手のドラフト不振、その背景に迫る

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今秋のプロ野球ドラフト会議では、社会人捕手が指名されなかったことが明らかになった

昨秋のドラフトでは、日本生命の石伊雄太が中日から4位で指名され、三菱重工Eastの山中稜真がオリックスから4位で指名されたことが記憶に新しい

これにより、令和元年に西武から5位で指名された柘植世那以来、社会人捕手の指名は5年ぶりとなった

石伊は1年目の今シーズンに85試合に出場し、「社会人No・1捕手」としての素質を証明したが、それでもドラフト市場には大きな変化をもたらすことはなかった

社会人捕手のハードルの高さ

今年は東芝の萩原義輝らがドラフト解禁年を迎える中で、社会人にも実力ある捕手が存在するにもかかわらず、なぜそこまで社会人捕手がプロ入りの壁を越えられないのか

この点について、あるNPBスカウトは捕手特有の事情があると指摘している

配球教育と時間

「優秀な捕手であっても、プロに入ってから配球を一から学び直す必要があり、1軍で出場するまでに時間がかかる」とそのスカウトは説明する

例えば、ヤクルトの古田敦也氏は、1年目に野村克也監督からの徹底的な指導を受けたことでこそ成功を収めたのだ

このように、捕手が一人前になるには多大な時間と労力が必要であり、それが指名のハードルを高くしているというのだ

社会人捕手のメリット

一方で、別のスカウトは「社会人捕手が持つ経験がNPBでも活かされる」と主張する

「社会人野球での緊張感は、他のカテゴリーでは得られない貴重な経験であり、その中で結果を残せるかどうかが重要だ」と話す

これは高校や大学、さらにはプロの2軍では簡単に得られないものである

捕手事情とドラフトの複雑さ

今秋のドラフトで支配下指名を受けた捕手は、高校生が4人、大学生は西武の1位指名を受けた明治大学の小島大河のみであった

阪神の岡田前監督は、「捕手は高校生」と述べ、大学生捕手の活躍は古田選手くらいしか知られていないのが現実である

もし大学生捕手のハードルが高ければ、社会人捕手はさらに厳しい状況にあると言える

また、大学3年の青学大の渡部海や亜大の前嶋藍といった有望選手が控えていること、そして即戦力捕手を必要とする球団の数も影響を与えていることが考えられる

ドラフトは縁や偶然、さらに様々な事情が絡み合うため、その複雑さが捕手の選択に影響しているのだ

これからの捕手候補
ちなみに、今シーズンのNPBでは規定試合数を上回った捕手は、高卒6人、大卒5人、社会人および独立リーグ出身が2人であった

捕手としてのプロ入りを夢見る高校や大学の選手たちには、どのステージで勝負するかの難しい選択が迫られている

今回の社会人捕手の指名不振は、捕手特有の厳しいプロの現実を浮き彫りにしている。社会人捕手が持つ経験がどのように活かされていくのか、今後の動向に注目が集まる。
キーワード解説

  • 社会人捕手とは?一般的には、大学や高校を卒業し、企業に所属して野球を続けている選手のことで、プロへの道は険しいとされています。
  • 即戦力とは?その選手がプロ入りを果たす際に、すぐに1軍でプレーできる能力を持っていることを指し、特に捕手はこの条件が厳しく求められます。
  • 配球とは?捕手が投手に対してどの球を投げるべきか指示を出す行為。これは試合運営の非常に重要な要素で、経験が不可欠です。

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