阪神のドラフト入団投手が5試合連続完投勝利を達成

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阪神のドラフト入団投手が5試合連続完投勝利を達成

1992年シーズンにおいて、中村勝広監督率いる阪神タイガースが、ヤクルトや巨人と激しい優勝争いを繰り広げる中、特に注目を集めたのが当時プロ4年目の投手、中込伸氏である

彼はこのシーズンで9勝を挙げブレークしたが、記念すべき1勝目が「運命の分岐点だった」と振り返る

これは1991年4月8日に行なわれた巨人戦での出来事で、2回までに4失点を喫しながらも、見事に立ち直って勝利投手となった

この成功には彼の女房役である山田勝彦捕手(現・日本ハムバッテリーコーチ)の存在が大きかった

中込氏のプロ生活は決して順風満帆ではなかった

1989年にプロ入りし、1年目はフォーム調整に苦しみ、2年目には右肘痛を患ったことで軟骨除去手術を受ける

当時、彼は阪神ドラフト1位指名選手として注目されていたが、試練の連続だった

しかし、彼はその後も前向きに取り組み続けた

「手術してから、新しい球種『真っスラ』が出始めた」と振り返る中込氏は、肘の痛みによって力まずに球を投げることができ、その結果、新球が生まれたのだという

3年目の1991年には、まだ1軍と2軍を行き来する日々が続いたが、シーズン終盤には新球の手応えを感じるようになった

特に9月4日の広島戦では、8回を2安打1失点という素晴らしい投球を見せた

続く9月22日の大洋戦では、プロ初勝利を2失点無四球の完投勝利で飾ることに成功した

「監督が私を使ってくれたからこそ、勝てた」と、恩師への感謝の言葉を口にする中込氏

その流れを受けて、9月23日の大洋戦(甲子園)では湯舟敏郎投手が完投勝利を挙げ、さらに9月24日から26日までのヤクルトとの3連戦においては、野田浩司投手、猪俣隆投手、葛西稔投手といったドラフト1位入団の投手が次々と完投勝利を達成し、5試合連続完投勝利という驚異の記録を生み出した

「確かに僕が最初だったけれど、次に投げて止まったんです」と、少し恥ずかしげに笑った中込氏

9月28日の中日戦では、7回1/3を投げて7失点し、試合も敗れたが、10月5日の巨人戦では5安打3失点の完投負けという成績に終わるも、過去2年とは違う手応えを感じ始めていた

1991年シーズンの中込伸氏の活躍は阪神タイガースにとって大きな意味を持つものでした。特に5試合連続の完投勝利は野球界の記録としても注目され、選手たちの士気を高めたことでしょう。彼の振り返りでは、試練から生まれた新しい投球が大きな転機をもたらしたことが示されています。
キーワード解説

  • 完投勝利とは?試合において先発投手が最後まで投げきり、自らの力で勝利を収めることを指します。
  • 真っスラとは?速球系の投球スタイルですが、投球の際に回転を加えることで、ボールが途中で曲がる特別な球種です。
  • 軟骨除去手術とは?関節の痛みや障害を引き起こす軟骨を外科的に取り除く手術で、選手が怪我を治すために行う非常に重要な治療法です。

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