具体的には、カイル・シュワーバーやマイケル・キングに加え、日本プロ野球(NPB)から岡本和真のポスティング獲得を狙っているとの報道もある
これまで、パイレーツやマーリンズは大型FA選手の獲得から距離を置く傾向があったが、今回の動きはその姿勢を一新するものだ
なぜ、これほど大胆な行動に出たのか
スポーツ専門サイト「ジ・アスレチック」の記者、エヴァン・ドレリッチは、背景にある複数の仮説を提唱しているが、その中でも特に注目すべきは、代理人サム・レヴィンソンの意見である
レヴィンソンによると、「収益分配制度」を巡ってMLBの球団間での対立が深刻化している
ビッグマーケットの球団は、スモールマーケットの球団が受け取る収益分配金を本当に戦力補強に利用しているのかに疑問を持っており、実際にマーリンズやパイレーツの2025年の総年俸は、それぞれ6700万ドル、8800万ドルと低迷している
これに対し、ビッグマーケット球団は「スモールマーケットが支出する意思を示さなければ収益分配金を減額すべき」と主張している
このような状況において、両球団が積極的にFA選手の獲得に動く意義は、単に勝利を目指す戦力補強だけにとどまらず、「我々は支出する意思がある」というメッセージを発信することにある
MLBの経済構造が次の労使協定で大きく変動する可能性が高い中、サラリーキャップの導入は不透明だが、少なくとも収益分配制度の見直しは避けられないだろう
ヤンキースのオーナー、ハル・スタインブレナーは、サラリーキャップには懐疑的なものの、最低年俸総額である「サラリーフロア」の導入を支持している
果たして、両球団は大物FA選手を獲得することができるのか、また、支出する意思のアピールが成功するのか、この冬のスモールマーケット球団の動向に注目が集まる
パイレーツとマーリンズの動きは、単なる戦力補強にとどまらず、MLB全体の経済構造の中での自己アピールである一面もある。今後の展開が注目される。
キーワード解説
- フリーエージェントとは?選手が所属先の契約が終了した際、他球団との契約を結ぶことができる制度です。
- 収益分配制度とは?球団間での収益を均等に分配する制度で、低予算球団の戦力補強を助けることを目的としています。
- サラリーキャップとは?スポーツチームが選手に支払う契約総額に上限を設ける規制のことです。
- サラリーフロアとは?逆に、選手への支出額の最低限を定めることで、全チームが一定の投資を行うことを促す制度です。

