巨人ファーム、宮崎キャンプでの学びと震災の思い出

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◆スポーツ報知・記者コラム「両国発」 今年から巨人ファーム担当となり、宮崎キャンプを約1か月間取材した

知らない土地でこれほど長期間過ごすのは初めてだった

 休日に夜景を見に行こうと思い立った

調べると宮崎空港からの夜景がきれいだという

空港の屋上には、1機の飛行機が展示されている

このビーチクラフト式C90A型のJA8850機はもともと宮城・岩沼市にある航空大学校仙台分校の訓練機で、東日本大震災の時、訓練飛行中で津波の被害を逃れたという

仙台出身の私は、一目見ようと車を走らせた

同じ県内で長年過ごした機体と宮崎で対面するのは不思議な感じがした

コックピットに搭乗し、JA8850機がどんな風景を目撃してきたのか想像を巡らせた

ちょうど14年前、地震が起きた時は小学校で帰宅の準備をしていたこと

机の下に潜り、長く激しい揺れにおびえたこと

雪の中、近所の小学校の体育館に避難して一晩過ごしたこと

所属していた野球チームの練習がしばらくなくなったこと

自身の記憶も自然と思い出された

降りて振り返ると機体には「がんばろう東北」と記されていた

そのメッセージは、復興の象徴とも言えるもので、最近は見かけることが少なくなったが、復興が進んでいることを実感させた

震災の2年後には、田中将大投手の24連勝により楽天が球団創設9年目で初の優勝を果たしたことが、私にとっても一つの記憶として心に残っている

「マー君、また勝ったね!」という会話は、あの時家族と交わしたものだ

その盛り上がりの中、日本シリーズを観戦し、日本一になった瞬間は今でも鮮明に覚えている

文字通り、東北が楽天に勇気を与えられ、一体感を感じていた

今季、あの田中が巨人に入団したことを知り、時の流れを感じずにはいられない

しかし、あの時の感動は決して色あせていない

宮崎の地でスポーツの力を再確認した

この記事は、プロ野球チームの巨人が宮崎キャンプを行う中での記者の体験を通して、震災の記憶やスポーツがもたらす力について考察しています。特に、復興の象徴としての飛行機の存在が印象的で、過去を振り返りながら前進している感触が伝わります。
キーワード解説

  • ビーチクラフト式C90A型とは? これはアメリカ製の小型航空機で、一般的にはビジネスジェットや訓練機として利用されています。
  • 東日本大震災とは? 2011年3月11日に発生した、大地震とそれに伴う津波のことを指し、多くの人々が被害を受けました。
  • 田中将大選手とは? 日本のプロ野球選手で、特に投手として名を馳せ、楽天での活躍後、海外リーグでもプレイした有名な選手です。

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