その中でも、11年連続で二桁勝利を挙げた北別府学氏は、「精密機械」と称されるほどの名投手であった
彼は2023年6月にこの世を去り、多くのファンに惜しまれたが、その彼が語った先発投手論は、今なお多くの人々に影響を与えている
先発投手に必要なスキルと知識
『野球は投手』と言われるだけあって、試合の主導権を握る先発投手は、ただ球を投げるだけではなく、試合を見極める力が求められる北別府氏の言葉を借りれば、「勝負どころを見極める能力」が特に重要だとされる
打者との対峙の仕方
北別府氏は、過去には中軸打者を抑えるだけで試合が進行できた時代もあったが、現在の野球では打者の技術向上や道具の進化の影響で、全ての打者に警戒を強めなければならない状況にあると指摘したこれによって投手は球数が増加し、疲労度も増すことになる
長いイニングを投げるための工夫
先発投手は中継ぎ投手と違い、同じ打者と何度も対戦しなければならないため、1試合を通じた計画が必要だこれには、カーブなどの変化球を駆使し、脱力感のある球を投じることが求められる
彼は、速いストレートばかりに頼っていては、打者を抑えることは難しいと警鐘を鳴らしている
技巧と戦略の重要性
160キロの速球を投げることよりも、140キロ程度の球をいかに160キロに見せるかが大切であり、それが投手自身を楽にさせることにつながると述べたこの技術は、技巧派投手だけでなく速球派投手にも通じるものである
北別府学氏の先発投手論は、野球の進化する環境においても変わらぬ価値を持つ。彼の専門的な考え方は、打者との対戦でいかに知恵を利かせるか、という側面を強調しており、若い投手にも大いに学ぶべきポイントが多い。特に、技術の進化に伴い、投手に求められる戦略的思考はますます重要になっている。
キーワード解説
- 先発投手とは？ 試合の先頭に立つ投手で、チームが勝つための戦略を担う重要な役割を持つ。
- 中継ぎ投手とは？ 試合の中盤から終盤にかけて登板し、先発投手をサポートする投手のこと。
- 変化球とは？ ストレート以外の球種で、打者の打ち方を混乱させるために用いる。
