同校の監督、荒谷忠勝さん(48)は「うちはプロを育てる学校ではない」と明言
今春の大会前に行った選手へのアンケート結果によると、将来の夢として「プロ野球選手」を挙げた選手は僅か4人だけで、教師や消防士、公務員が大半を占めている
広島商の野球部には約100人の部員が在籍しており、ベンチ入りできない選手が多いのも特徴
しかし、監督はあくまで教育の一環として、社会で必要とされる人材の育成に重きを置いている
選手育成に求められる変化
朝日新聞が夏の広島大会に参加する90校の監督に行ったアンケートによれば、7割が現在の選手たちの考え方や行動様式が変わっていると感じている多くの監督は「デジタル社会で情報収集能力が高い」「多様な考えを持つ生徒が増えた」と回答
一方で、「簡単に『部をやめる』と言う生徒が多い」との意見も見受けられた
PDCAサイクルの導入
荒谷監督は、選手たちに「PDCAサイクル」を導入しているPDCAサイクルとは、計画(Plan)→実行(Do)→評価(Check)→改善(Action)というプロセスを反復することで、業務の質を向上させる管理方法だ
選手たちは月ごとに計画を立て、日々の練習後には「野球日誌」に考えをまとめ、業務の見直しを行っている
選手の目標と取り組み
二塁手の西村銀士主将(3年)は、送球の精度を上げるための目標を掲げ、日々の練習でその達成状況を確認し、改善点を考えているこのアプローチにより、選手たちは自己管理能力や問題解決能力を高めている
また、記録員の加藤颯太さん(同)は「監督目線」を目指し、自ら課題を設定して改善に努めている
例えば、毎日ごみを5個拾うことで、自分の視野を広げることを試みている
荒谷監督は、日誌を通して選手たちの個性や強みを把握し、その情報を基に個別のアドバイスを行うことで、選手育成に生かしている
今春の選抜大会を振り返り、西村主将は「PDCAサイクルの考え方はわかりやすく、勉強にも役立てています」と語った
広島商業高校の野球部は、選手の育成においてプロを目指すことだけではなく、社会で必要とされる人材を育てることに重きを置いている点が非常に印象的です。特に、PDCAサイクルを導入していることで、選手たち自身が計画的に行動する習慣を身につけているのは、将来の彼らにとっても大きなプラスとなるでしょう。
キーワード解説
- PDCAサイクルとは? プラン(計画)、ドゥ(実行)、チェック(評価)、アクション(改善)の4つのステップを反復して行うことで、業務や物事の効果を高めようとする方法です。
- 精神野球とは? これは、野球を単なるスポーツとしてではなく、精神力やチームの結束を重要視する考え方のことを指します。

