阿部巨人、機動力野球への本格的な進化開始

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 阿部巨人の“機動力改革”が30日、本格的にスタートした

秋季キャンプ2日目に走者一、三塁を想定した戦略的走塁練習に25分間も時間を割いた

足と作戦面で他球団に後れを取った今季の反省を生かし、秋では異例となる実戦を想定した本格的な走塁練習が行われた

 岡本和真内野手(29)のメジャー挑戦が濃厚な来季には、1点をもぎ取るスモールベースボールの重要性が高まる

足をかき回す新攻撃スタイルの土台を、秋から固めていくことが求められる

機動力向上を目指す走塁練習

 シートノックを終えた選手たちが、二手に分かれて一、三塁ベースに向かった

スタンドのファンもまばらな午前10時10分、いきなり本格的な走塁練習が始まった

若手野手8人が一、三塁のランナーとして登場

門脇と浦田が重盗を決め、佐々木がセーフティスクイズで頭から本塁に滑り込むという光景が展開された

 シーズン終了からわずか18日目にして、早くも超実戦的な走塁練習が行われたことには“危機感”があった

今季のチーム盗塁数は53と、12球団最少であった

スコアラーやデータ班が分析した結果、橋上オフェンスチーフコーチが「すこぶる、よくなかった」と明かすように、走塁面の細かい指標の多くが12球団ワーストクラスであることが判明した

選手たちの走塁意識と向上心

 走者を務めた門脇、浦田、浅野、若林、佐々木、オコエ、荒巻、中山は全員が50メートル6秒前後と、走力のある選手がそろっている

しかし、橋上チーフは「(チームとして)サインの不徹底もいくつか見受けられました」と、さらなる改善の必要性を強調した

 基礎をたたき込んだ上で、先を見据えた走塁意識の向上が求められる

例えば、一塁走者がつまずいたフリをしてけん制を誘い出し、その隙に三塁走者がホームに突入する“奇策”なども導入され、走塁意識と判断力を鍛える練習が行われている

新たな戦略への移行

 岡本がポスティングでメジャー挑戦を表明したことで、来季は打撃力の面で不安が残る

絶対的な4番が不在となるため、効率よく得点を重ねるための機動力野球が不可欠となる

 今季6盗塁の門脇は「盗塁を全然していないので、走っていかないと

細かいところを詰めていきたい」と走塁意識の向上を明言し、同0盗塁の浦田も「自分の武器は足

1回でも多く塁に出て走るのが仕事だと思っています」と意気込みを見せた

秋季キャンプの目標
 個人のレベルアップに重点を置きつつ、細かな作戦練習で「量と質」の両立を図るのが今キャンプの目標である

阿部監督は「和真もいなくなるし、打ちまくって点を取るのは難しい

今年もエンドランとか作戦面の失敗がすごい目立っている

いろいろなことを試しながら来年に向けてやっている最中である」と先を見据えた

 V奪回への道は足元改革から

実りの秋にするべく、阿部巨人は走り、考え、細部にこだわっていく

今回の阿部巨人の走塁練習は、今季の成績を考えると非常に重要なステップと言える。走力のある若手選手を中心に機動力を活かした新たな戦略が求められる中、地道な努力が実を結ぶことを期待したい。来季への期待感が高まる。
キーワード解説

  • スモールベースボールとは?小さくまとまった攻撃戦略を採用し、効率的に得点を重ねることを目指す野球スタイルのこと。
  • 重盗とは? 同時に二人以上の選手が盗塁を試みるプレイのことで、成功すれば相手チームの守備を混乱させることができる。
  • エンドランとは?バッターがバントやヒットを狙う一方で、走者が次の塁に進むプレイであり、守備側にプレッシャーを与えることができる戦術である。
  • セーフティースクイズとは?バッターが一塁へのヒットを狙いながら、同時に走者がホームを狙うプレイであり、得点のチャンスを広げる方法である。

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