何度も経験してきたはずなのに、阪神・湯浅はソワソワしていた
「マジで何も覚えてない」
3点ビハインドの7回を最速150キロで13球
1回1安打無失点の復活劇だ
勝ち投手となった23年11月2日の日本シリーズ・オリックス戦(甲子園)以来、シーズンでは同6月15日のオリックス戦(同)以来、684日ぶりとなる1軍の舞台
「たくさんの人の支えでここまで来られた」と、苦難の日々に思いをはせた
右足に違和感を覚えたのは24年始め
練習後、膝の力がスッと抜けた
「今、膝カックンされた?」
周りには誰もいない
「どうしようって
病みそうだった」
原因不明のしびれは日増しに強くなった
たまに症状が収まるから、2軍戦で投げた
「やっぱり、おかしい」
検査結果は、国指定の難病「胸椎黄色じん帯骨化症」
これは、脊椎の黄色じん帯が異常に硬くなる病気で、重度になると歩行障害を引き起こすこともあります
人生初の手術になる
不安だった
踏み切れたのは、同じ病から復帰した現役選手を知ったから
DeNA・三嶋、中日・福、ロッテ・岩下
「僕より前に手術した選手がいなかったら、決断できたかな」
“先輩”たちはリハビリ中、何度も相談に乗ってくれた
「今度は僕が同じ病気の人を元気づけられたら」
その思いを原動力に、春季キャンプ中に実戦復帰
2軍で9登板を重ね、戦力として呼ばれた
チームはビジターの連勝が8でストップしたが、23年WBC右腕の復帰は光明
藤川監督は「何とかゼロで帰ってきたので、良かった」とたたえた
「ここからまた始まる」と湯浅
V奪還へ、頼もしい右腕の帰還だ
(直川 響)リハビリを支えた盟友は巨人・大勢
つらいリハビリは一人では乗り越えられなかった
湯浅は「たくさんの人の支え」と表現したが、23年WBCのチームメートで同学年の巨人・大勢はその一人
「オフもごはんを食べに行ってすごく楽しかった」
盟友の存在もモチベーションの一つだった
先の見えない日々
チームメートの前では気丈に振る舞うのが精いっぱいだった
笑顔がトレードマークだが「しんどいところは見せないように隠してた」
そんな時、節目に届く大勢からの連絡を力に変えた
甲子園で巨人戦があった25日は、試合前に再会
「負けないように頑張りたい」と闘志を燃やした
親友は最強のライバル
再び、しのぎを削る日々が始まった
(阪神担当・直川 響)湯浅京己選手の復帰は、彼自身の努力だけでなく、周囲のサポートが大きく関わったことが印象的です。病気からの回復には多くの時間が必要でしたが、仲間や先輩選手からの励ましが支えになったことは本当に素晴らしいと思います。彼の復帰が他の選手にも勇気を与えることでしょう。
キーワード解説
- 復活劇とは?復活劇は、ある選手やチームが不調や困難を乗り越え、再び成功や活躍する様子を指します。
- 胸椎黄色じん帯骨化症とは?胸椎黄色じん帯骨化症は脊椎の黄色じん帯が異常に硬くなることで、さまざまな身体的な問題を引き起こす病気です。
- リハビリとは?リハビリは、病気やけがからの回復を助けるための運動や治療のことです。

