広島商・迫田穆成氏の教えが今の選手たちに受け継がれる

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広島商業高校は、春夏通算で7回の全国制覇を誇る名門校であり、今春のセンバツに出場する

特に注目すべきは、2023年12月に膵臓がんで亡くなった主将兼監督の迫田穆成(よしあき)氏(享年84)が残した数々の教えだ

その中で彼が最も大切にしていたのは「相手を思いやる心」

この教えは、現在の選手たちにも確実に受け継がれている

迫田氏は広島市出身で、外野手として1956年と1957年の夏の甲子園に出場し、特に57年には主将として優勝を果たした

彼の監督としてのキャリアは1967年に母校での指導を開始したことから始まった

特に語り草となっているのは、1973年春のセンバツ準決勝での江川卓投手(元巨人)攻略のために考案した「スクイズ失敗作戦」である

江川投手は、高校時代に2回の完全試合を含む無安打無得点試合を記録し、「怪物」と称された

迫田氏は、江川投手との戦力差を埋めるために、意表を突く戦術を考えた

この作戦では、故意にバントを失敗させ、三塁走者が本塁に向かってスライディングすることで、二塁走者が生還するという巧妙な手法だった

しかし、彼はプレー面で細かな指導をすることは少なく、「対戦相手のことを考えなさい」と強調してきた

広島商OBである能美正孝氏(62)は「打点を挙げたり、勝ったりしても相手が辛い思いをするから喜んではいけない」と迫田氏の教えを思い出して語った

さらに、今の選手たちにも迫田氏の姿勢は色濃く受け継がれている

今年の1年生で新チームの4番を任されている名越貴徳選手は中国地区大会決勝で先制本塁打を打った際、表情を崩さずダイヤモンドを一周した

「相手へのリスペクトを忘れないため」と彼は説明した

センバツ出場が決まった際も、選手たちは喜びをあまり見せず、前を向いている

迫田氏の教えは、荒谷忠勝監督にも受け継がれている

彼は迫田氏が残した「力がないなら、頭を使え」という言葉を胸に刻み、73年春の江川投手攻略のように、創意工夫を凝らしていく方針を立てている

荒谷監督は「選手の特性を生かして、全国レベルで戦い抜きたい」と強い意気込みを見せている

迫田穆成氏の教えが広島商の選手たちに今も影響を与えているという点がとても印象的です。特に、相手へのリスペクトを忘れず、喜びを控える姿勢は、スポーツの本質を実感させてくれます。今後の成長が楽しみです。
キーワード解説

  • スクイズ失敗作戦とは?:故意にバントを失敗させたり、意表を突く行動をすることで、相手の予測を裏切る戦術の一環です。
  • 相手を思いやる心とは?:勝ち負けに関係なく、相手チームや選手に対する敬意を持ち、思いやりを示す姿勢のことです。

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